天皇賞（秋）のレビューです。
１分５６秒１・・・何とも物凄いタイムが出たものです。
シルポートがかっ飛ばしたのが一因ですが、後続が意外について行けたこともその要因だと思います。
この流れで戴冠したのはトーセンジョーダン。
有力馬の１頭とは見ていましたが、勝ち切るとまでは思いませんでした。
しかし、昨年の有馬記念が僅差５着で、中山2500mよりも府中の2000mの方が明らかにこの馬に良い条件であることを考えれば、好勝負必至と見るべきであったと後悔しました。
道中やや後方からの追走で、直線入り口で徐々に外に持ち出し、スムーズに捌けたことが勝因でしょう。
ピンナ騎手の仕掛けのタイミングもドンピシャでした。
父ジャングルポケットは府中２４００ｍでＪＣとダービーを勝ち、その父トニービンもジャングルポケットをはじめテレグノシス、ウィニングチケット、ベガ、サクラチトセオーなど特に府中コースでＧⅠホースを輩出していました。
こうした血統背景も無縁ではなかったと思います。
もちろん、いうまでもなくフロックで勝てるタイムではないので、強い競馬だったと言うべきでしょう。
反動がどうかという懸念はありますが、実力的にはＪＣ、有馬でも当然好勝負して来ると見ていいでしょう。
２着に府中重賞を連勝中だったダークシャドウ。
ブエナビスタのすぐ外、中段で流れに乗っていました。
誤算だったのは、前の馬を捌くのにやや手間取り、道中後方にいたトーセンジョーダンに先に出られてしまったことでしょう。
前が開いてからはトーセンジョーダンと併せて良く伸びてきましたが、そこがスムーズだったら・・・と悔やまれる競馬だったのではないかと思います。
勝ち馬と同等の評価を与えて良いでしょう。
３着にペルーサ。
後方待機から、直線はひときわ目立つ脚で伸びました。
展開的にははまったはずですが、３着まででした。
上位２頭が強かったのと、休み明けの分の差ではないかと思います。
またもう少し長い距離に適性がありそうです。
負けはしましたが、次走のＪＣに向けては楽しみが広がる内容だったのではないかとおもいます。
４着に１番人気、小生の本命ブエナビスタ。
スタートを決めて、内枠だったこともあり、中段やや前目での追走でした。
しかし直線を向いて、外をダークシャドウに塞がれ、バテた馬を捌くのにも手間取り、追い出せない場面がありました。
内をこじ開けてからは良く伸びていますが、さすがにこの展開では４着まででした。
しかしあの展開で並の馬だったら惨敗するはずですが、馬場の荒れた内を通って４着まで追い上げたのはさすがと言って良いと思います。
まともな競馬ができていれば勝っていただろうという思いに変化はありません。
次走はまた人気が落ちるかもしれませんが、狙い目でしょう。
５着にトゥザグローリー。
春先に重賞を連勝したようにもともと実力馬ではありましたが、春２戦のＧⅠでは体調が整わず惨敗していました。
立て直して臨んだこのレース、さすがに前４頭は強かったですが、この馬も力のあるところは見せられたと思います。
６着にエイシンフラッシュ。
好スタートを切り、内枠だったこともあって前目での競馬でした。
残り４００ｍ付近で埋まりでシルポートに並びかけましたが、さすがに残り１５０ｍ付近で力尽きました。
しかし、マイル通過は１分３２秒２とかなり速いタイムにもかかわらず馬なりで並びかけ、残り２００ｍ地点ではまだ先頭にいましたが通過ラップは１分４４秒３。
相当強い競馬をしています。
この馬が強かったからこそ、後続馬も早めに動かざるを得ず、大レコードタイムを誘発したと言っても良いでしょう。
展開が向きませんでしたが、持っている能力そのものはかなり高いという評価を変える必要はないと思います。
７着にナリタクリスタル。
良く伸びていますが、６着馬との２馬身差が実力差を物語っていると思います。
８着ミッキードリーム。
この馬には展開が厳しかったはずですが、良く走っていると思います。
この馬向きの展開になれば、ＧⅠでも掲示板に載れる実力はあるでしょう。
９着にジャガーメイル。
出遅れて後方から。
直線は馬場の悪い内を縫って良く伸びています。
もともと２０００ｍはこの馬にはやや短いので、精一杯の結果でしょう。
次走ＪＣに出走して来れば前進が期待できそうです。
４番人気ローズキングダムは１０着。
好位で進めていましたが、直線はバッタリ。
底力勝負では分の悪いタイプの馬なのではないかと思います。
切れ味勝負になって好勝負をするタイプなのでしょう。
スタートで出遅れ気味に出ながら、大外枠から強引に３番手へ。
しかし猛烈なハイペースを追いかけたので直線はバッタリ。
この展開、枠順では惨敗も致し方ないと思います。
また、やはり自身のペースで先行して、コーナー、コーナーで差し馬に少しづつ差をつけてアドバンテージが取れるトリッキーなコースにより適性があるのだと思います。
逃げたシルポートは１６着。
また２０００ｍに良碩がないように、距離も自身の適性を超えていたのだと思います。
しかしこの馬自身１６００ｍ通過が１分３２秒２。
マイルで勝ち負けになるタイムです。
マイルＣＳに出走してきたら再評価が必要だと思います。
各馬、魂を擦り減らすような、稀に見る底力勝負でした。
展開による有利不利があり、必ずしも各馬の実力に見合った着順ではなかったと思います。
１分５６秒１・・・当分破られないレコードでしょう。
我々は競馬史の証人になったのではないでしょうか。
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