人気が分散しているように混戦が予想されたスプリンターズSですが、やはり荒れました。
というより、レースそのものの流れが”荒れた”という感じです。
逃げ馬が多いので速い流れが予想されました。
実際スタート直後の1ハロン(200m)は11秒7と、少なくともデータが取れた過去7年間(今年を含む)では最も速くなりました。
ところが。
ちょうど1ハロンを過ぎたあたりでウルトラファンタジーのライ騎手がペースが速すぎると読んだのか、手綱をガッと引っ張って抑え、それによって馬も減速しました。
日本の競馬ではそのまま2F目に突入してもまだ先行争いの余力で(重賞レベルであれば)10秒台前半で流れるのが普通です。特に、スプリンターズSがおこなわれる中山競馬場の1200mはスタート地点から緩やかな下り坂になっているので、そのようになることが多いように思います。
ウルトラファンタジーの急な減速に、先行各馬の騎手が面食らったのでしょう。
先行集団にはローレルゲレイロ、ビービーガルダン、そしてウルトラファンタジーの直後にアイルラヴァゲインがいましたが、各馬の騎手の対応が中途半端になりました。ローレルの藤田騎手は競り落として内に入ることはせず、外を走り続けてウルトラファンタジーが再びハナを切るのを待ち、ビービーガルダンのアンカツ騎手に至ってはウルトラファンタジーより前に出ないように必死で抑えました。そして一番の被害者はウルトラファンタジーの直後にいたアイルラヴァゲインで、急ブレーキをかけざるを得ませんでした。
この時点で、日本の先行馬3頭は事実上競馬が終わってしまったといって良いでしょう。
自分の馬のペースを放棄して、急ブレーキを踏んでウルトラファンタジーのペースに合わせ、ウルトラファンタジーが来たらアクセルを踏んでまた加速を促したわけですから。
これは、過去7年間のスタートから2ハロン目までのラップタイムを見れば一目瞭然です↓
2004年 12.0 - 10.6 - 11.0(不良馬場)
2005年 12.1 - 10.1 - 10.7
2006年 12.0 - 10.1 - 10.7
2007年 12.0 - 10.3 - 10.8(不良馬場)
2008年 11.9 - 10.4 - 11.3
2009年 11.9 - 10.2 - 10.8
2010年 11.7 - 10.7 - 10.9
今年だけ突出して遅いことが分かります。不良馬場だった2004年、2007年ですら今年よりも速いペースで流れています。ちなみに、不良馬場の2年の勝ち馬はいずれも逃げ馬でした。
3ハロン目も、良馬場開催では遅くなっていて、不良馬場開催時と同程度のラップタイムです。
これでは、ウルトラファンタジーが逃げ切り勝ちするわけです。
もちろんウルトラファンタジーの勝利にケチをつけるつもりはなく、休み明け、海外遠征での勝利は素晴らしいと思います。
但し、その陰には日本馬のアシストがあったというわけです。
このレース、馬場としては遅い流れだったにも関わらず、日本の先行馬が全滅したのはそのような理由によります。
さて、次にハナ差2位入選のダッシャーゴーゴー。ついにやってしまったか、という感じです。
つまり、偶然ではなく必然の降着でした。
この馬、ここにきて急激に力をつけていて、実力はあるのですが、直線追いだしてほぼ必ず内側にササるのです。
CBC賞、前走のセントウルSでもかなりササって他馬に迷惑をかけていました。
ちなみに過去レースの回顧はこちら↓
但しサンカルロにとっては致命的な不利ではありましたが・・・
JRA審判団としても過去を踏まえて合わせ技一本で降着にしたのかな?と。
またレースでも最内からうまくすくった感じなので、額面通りには受け取れませんが、前走勝ちも示す通り、短期間でかなり強くなっています。来年が楽しみな馬になりました。が、右回りで内にササるのを何とかしないといけませんね。
3位入線は中間順調さを欠いたキンシャサノキセキ。中あるいは外を回った差し馬の中では一番の競馬を見せましたが、やはり一度叩かれていたら・・・と悔やまれる内容です。
4位入線はダッシャーに進路に入られたサンカルロ。こちらも内をすくったクチで、額面通りの評価はできませんが、ダッシャーがいなかったら少なくともキンシャサよりは前に来られたかもしれません。そしてひょっとすると先頭まで突き抜けられたかもしれません。
陣営としては残念な3着でしょう。
5着に2番人気、小生の対抗ワンカラット。
この馬も先行馬群のすぐ後ろを追走していたので、先行馬急ブレーキの影響があったと思います。
直線でもっとはじける馬ですが、やや伸びを欠きました。
6着にジェイケイセラヴィ。
抜群のスタートから、先行集団で控える形でした。
外枠のため、”急ブレーキ現象”に惑わされずに進められたのも良かったと思います。
また、実際に力をつけています。
もう一頭の香港馬、1番人気のグリーンバーディは7着。
内枠のためか、ずっと包まれてしまいました。馬群にもまれて直線はほぼ最後方。
むしろこの展開で良く7着まで来られたな、という印象です。
明らかに不完全燃焼の競馬でした。
道中の”急ブレーキ現象”あり、降着ありとわけの分からんレースになってしまいました。
最後にスプリンターズSでの日本騎手に一言だけ。
もっと自信を持ってちゃんと乗ってくれ~~~!!!